テニプリキャラとクリスマスのディズニーへ行こう! ―― 不二(シー)ver.





その日はいつも通りの1日だったはずだ。いつもの休日のようにディズニーに来て(年間フリーパスだよ。みんなに羨ましがられる!),今日はグリーティングを楽しむか!と思ってケープで柵に寄りかかってキャラクターを待っていただけだった,はず。
なのに,


(え‥?今,何か口に当たっ‥)


目の前に何かが現れて,何かと思えば本物の王子様みたいな人が私に向かってにこりと優しげな微笑みを向けてきてて,かと思ったら,


(え‥これってき,キス‥?)


頭の中でいろんなものがぐるぐると走りまわった。え,今キスされた?こんな初対面の,話したこともない人に?予想だにしない事態に慌て,ファーストキスだったのにとか,でも意外と嫌な気持ちはしなくて,見事にパニック状態に陥っていると,その人はそんな私を見てくすくすと笑った。


「ふふ。驚かせちゃったかな。ごめんね」
「え,ちょっと待ってください,え,え‥?」
「君があんまりにも可愛かったから,つい,ね。ごめんね」
「え,可愛くなんかないです(キャー!!こんなかっこいい人に可愛いって言われて嬉しくない女なんていない。うん),けど,え,でも,何で‥?」
「うーん,君を気に入ったっていうのと,その看板に従ったっていうのの,それだけなんだけどね。ダメだったかな?」
「看板‥?」


私はいつもなら可愛いダッフィーの看板が掲げられているところに立っていたのだが,ふと見上げてみるとサンタさんの衣装を着ているミッキーとミニーちゃんがキスをしている絵に変わっていて,


“ Look up! You're Under The Mistletoe! ”


と書いてあった。Mistletoe‥?


「見て!下にいるよ‥?何の下にいるんだろ?」
「これ,やどりぎって言う意味の単語でね,西洋ではやどりぎの下にいる女の子にはキスしてもいいよ,って言い伝えがあるんだ」
「えー!!だからそんな,私にいきなり‥」
「そうだね,そして,やどりぎの下でキスをした二人は幸せになれる,という言い伝えもあるんだよ」


私は断じて軽い女なんかではない。けれど,いきなりキスをされたのに,少しも嫌ではなかった。それどころか,何だか幸せな気分‥。


「僕は不二周助といいます。君は?」
「ええっと,私はです」


まだ頭が追いついていないけれど,サンタさんがくれたクリスマスプレゼントなのかもしれない。こんなことから始まる出会いも,いいかな!



(結局,クリスマスに二人でシーに行くことになりました!うれしいー!)
(二度とあんなところで立ってたらだめだからね)







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